新型コロナワクチン

緊急事態宣言が10都府県で発出されている状況の中(2021年2月11日現在)では、新型コロナウイルス対策は気になるところかと思います。
私はその中でもやはり新型コロナワクチンが気になっているので、今回はワクチンについて調べてみたことを整理してお伝えします。

以下は、政府関係機関やワクチン開発会社のプレスリリースから、2021年2月11日時点で収集した情報です。
なお、私は医療関係者やワクチンの専門家ではありませんので、あくまで収集した情報という点はご理解ください。

目次

1 ワクチンの種類
2 日本のワクチン確保状況
3 ワクチンの承認手続き
4 ワクチンの保管・管理
5 日本における今後の課題

1 ワクチンの種類

まず、ワクチンと一言にいっても様々な種類のワクチンがあるので、主要なワクチンについて紹介します。

生ワクチン
病原性を低くした病原体を接種し、免疫反応を起こさせて防御能を獲得するワクチンです。
麻疹ワクチンやBCGワクチンとして実用化されています。

不活化ワクチン
病原性のない抗原に不活化した上で接種し、免疫反応を起こさせて防御能を獲得するワクチンです。
インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、破傷風ワクチンとして実用化されています。

mRNA ワクチン
日本が契約しているファイザー社モデルナ社で、新型コロナワクチンとして開発されているワクチンです。
mRNAというのは、メッセンジャーRNAの略で、異なるタンパク質を生成するために使用する情報細胞を運ぶ設計図のようなものです。
このワクチンは、筋肉内注射で投与し、筋肉細胞や樹状細胞という免疫担当細胞の中で mRNA をもとにタンパク質を作ります。
その生成したタンパク質が免疫反応を起こして防御能を獲得します。
mRNA 自体にも自然免疫を刺激する働きがあります。
この種類のワクチンは、HIVやがんで臨床試験は行われていますが、実用化されるのは今回が初めてです。

ウイルスベクターワクチン
日本が契約しているアストラゼネカ社で、新型コロナワクチンとして開発されているワクチンです。
ベクターというのは運び屋という意味ですので、ウイルスを運ぶワクチンです。
このワクチンは、感染力のあるウイルス(アデノウイルス)に特定の遺伝子を組み込み人体に投与します。
mRNA ワクチンと同様に、ヒトの細胞内でタンパク質が合成され、免疫反応を起こして防御能を獲得します。
このワクチンで投与するウイルス自体には病原性はありませんが、人体内で複製されて増殖するものと、複製されず増殖できないものがあります。
アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンは、チンパンジーアデノウイルスを用いたもので、人体内で複製できないものになります。
この種類のワクチンは、エボラ出血熱のワクチンとして実用化されています。

2 日本のワクチン確保状況

続いて、日本が既に契約して確保しているワクチンについて紹介します。

ファイザー社(米国、mRNAワクチン)
2021年6月末までに1億2000万回分の供給を確保しています。
2回接種のワクチンのため、実質6000万人分になります。
2020/10/20から国内治験を実施しており、2020/12/18に日本国内での特例承認の申請が出されています。
厚生労働省は2021/2/12に承認を判断する審議会(部会)を開催すると発表しています。
有効性は95%を示しており、副反応としては、重大な安全性の懸念は認められず、疲労(3.8%)、頭痛(2.0%)となっています。

アストラゼネカ社(英国、ウイルスベクターワクチン)
1億2000万回分(第1四半期に約3000万回分)の供給を確保しています。
1回接種のワクチンのため、1億2000万人分になります。
2020/9/4から国内治験を実施しており、2021/2/5に日本国内での特例承認の申請が出されています。
有効性は、まず半分の量を投与し、少なくとも1カ月の間隔をおいて全量投与した場合で90%を示しています。
副反応としては、重大な安全性の懸念は認められていません。

モデルナ社(米国、mRNAワクチン)
2021年上半期に4000万回分、第3四半期に1000万回分の供給を確保しています。
2回接種のワクチンのため、実質2500万人分になります。
2021/1/21から国内治験を実施しており、まだ日本国内での承認申請はされておらず、承認時期は未定です。
有効性は94.5%を示しており、副反応としては、重大な安全性の懸念は認められず、2回目接種後の倦怠感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)となっています。

3 ワクチンの承認手続き

2で触れた、特例承認の申請承認を判断する審議会(部会)の概要について紹介します。

特例承認の申請
特例承認は医薬品医療機器等法第 14 条の3第1項に定められており、
①疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要
②当該医薬品の使用以外に適切な方法がない
③海外で販売等が認められている
の3要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い制度です。
新型コロナ治療薬であるレムデシビル(製品名ベクルリー、ギリアド社)も特例承認を受けています。
レムデシビルは、特例承認で2020/5/4に申請され、2020/5/7に承認を受けています
通常の承認では1年ほどかかるとのことなので、特例承認のスピードの早さがわかるかと思います。

承認を判断する審議会(部会)
ワクチンについては、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)において承認が判断されています。
こちらが審議会(部会)のページで、例えばレムデシビル(製品名ベクルリー)を承認する審議についても議事録が公開されています。
今後、新型コロナワクチンについてもこの審議会(部会)で審議されるため、承認までの詳細な議論は議事録で確認できると思います。
有効性や副反応に関する専門家の先生方の見解はこの議事録でも確認できます。

4 ワクチンの保管・管理

今後ワクチンが承認され接種が開始されると、ワクチンの保管・管理も課題となってきますので、紹介します。

mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)の保管・管理
mRNAワクチンは有効性を保つために冷凍した状態で運搬や保管をすることが必要です。
このため、ドライアイス入り保冷ボックスや、マイナス70℃程度の保管が可能な冷凍庫の準備が進められています。
これまでに実用化されている生ワクチンや不活化ワクチンは、遮光・凍結を避けて10℃以下等の低温で保管ができます。
mRNAワクチンは冷凍が必要というのが、これまでのワクチンと大きく異なる点です。

ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)の保管・管理
ウイルスベクターワクチンは、普通の冷蔵庫で少なくとも6カ月間保存が可能です。
これまでに実用化されている生ワクチンや不活化ワクチンと同様ですので、mRNAワクチンに比べると保管・管理は容易になります。

5 日本における今後の課題

以上、新型コロナワクチンについて、私が調べてきた情報について紹介させていただきました。

ワクチン接種は、まずは医療従事者の方々から、2021年2月中旬から開始される予定となっています。
最後に、実際にワクチン接種が開始されるにあたっての今後の課題についても考えてみました。

個人のワクチンへの理解
ワクチンはあくまでも個人の判断に基づき接種するものですので、国が接種を強制することはできません。
このため、今後接種を進めていく中での副反応疑い報告制度などを活用して、その有効性とリスクについて情報収集を続けたいと思います。
そのためにも、行政がわかりやすい情報発信を行い、個人としても情報収集して自分の中で腹落ちさせることで、理解あるワクチン接種が進むとよいなと思います。
その上で、接種者、非接種者それぞれの考え方への理解も忘れずにいたいです。

国と自治体の連携
ワクチン接種においては、方針を決定する国と実際の接種業務を担う自治体との連携が必須です。
GOTOトラベルや緊急事態宣言の関係では、国と自治体がうまく連携できたとは言えないと思っています。
だからこそ、このワクチン接種においては、国と自治体が気持ちを1つにすることが重要と考えています。

ワクチン供給の安定
日本は3社と契約してはいますが、予定どおりに安定的に供給を受けられるかは不透明な部分もあります。
このためにも、他の供給先の確保や国内でのワクチン開発を進めることが重要と考えています。

優先順位
①医療従事者②高齢者③基礎疾患を有する方や高齢者施設等において利用者に直接接する職員
という優先順位が方針となっています。
その後の接種の優先順位をどうするかは決まっておらず、各自治体の接種に係る体制を見極めつつ、どうすべきか検討が必要と考えています。

以上、課題を提起しただけになっていますが、
批判は易し、されど、解決は難し
ということで、私自身もしっかり情報収集してよりよい解決策について考えていきたいと思います。

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